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ブンデスリーガ通信簿、香川と大迫がたいして変わらないなど突っ込み満載

ブンデスリーガ2017~18シーズンは前半戦が終了した。日本人選手たちの活躍ぶりはといえば、あまりパッとしなかったと言わざるを得ない。

ここまで17試合。5点以上得点した選手もいなければ、全試合にフル出場した選手もいない。ハードルを上げすぎだと言われるかもしれないが、以前の活躍ぶりを考えると、
どうしても常に右肩あがりの活躍を期待するのも致し方のないことではないだろうか。今季前半、ブンデス1部で試合出場のあった9人について、現地での取材をもとに採点してみた(採点は標準が6とする)。

香川真司ドルトムント)【6.5】

ドルトムントは3位で前半戦を折り返し、日本人所属クラブでは最上位となった。香川自身は左肩脱臼の影響により出遅れ、ペーター・ボス前監督の構想にも一番手としては入っていなかった。
さらに9月、10月の日本代表戦でも活躍できず、11月にはついに代表落ち。ドルトムントでは次第に出番が増えていったものの、チームは3部チーム相手のドイツ杯を除くと2カ月にわたって勝利なしと、苦しすぎる前半戦を送った。

それでも好印象が残るのは、ペーター・シュテーガー新監督が就任してからの直近2試合にフル出場。しかも全ての得点に絡む活躍を見せたことによる。
4-3-3の中盤で起用されながら、以前のようにポジショニングにとらわれすぎることもなくなったのは不思議でさえある。

明らかにゴール前に入り込む回数やタッチ数は増え、マンチェスター・ユナイテッドからの復帰以降では、現在が一番いい状態かもしれない。
「チームを変える。そういう立場だと自覚している」と、頼もしいコメントも出てくるようになった。3月の代表戦で、この状態のよさを発揮できるチャンスは訪れるか。


長谷部誠(フランクフルト)【6】

フランクフルトは8位で前半戦を終えた。長谷部はリーグ戦17試合中9試合にフル出場、1試合は60分からの途中出場だった。ニコ・コバチ監督の絶対的な信頼のもと、キャプテンシーを発揮。
リベロからボランチまでこなす使い勝手のよさも抜群で、時間とともに安定感が増している。

それでも出場時間が伸びないのは、ひとえに古傷の右膝の状態がよくないからだ。「膝が悪いから出ない」というアナウンスこそないが、
「膝の状態は僕も聞かないと(日によって調子が)わからない」「(ケガと)付き合っていくしかない」などというコメントから総合的に判断すると、欠場の全ての原因が膝にあると類推できる。

来年夏に切れるクラブとの契約延長の話がないのも「膝があるから」と本人が言っている。来年のW杯でも、短期間のうちに行なわれる3試合でパフォーマンスを発揮し切れるのか、気がかりだ。

鎌田大地(フランクフルト)【6】

サガン鳥栖から完全移籍を果たすと、ドイツ杯1回戦とブンデス開幕戦に先発。そのまま攻撃的MFとして先発の座をつかめればよかったのだが、チームはその後、ケヴィン・プリンス・ボアテングを獲得。
悪童として名高いが、確かな技術とフィジカルを持つ彼にその座を奪われた格好だ。

結局、その後は先発1試合、途中出場も1試合のみと、出場機会を失った。それでも評価を6としたのは、20歳(現在は21歳)という若さでのブンデス1部への移籍が近年はなかったから。
移籍直前に入籍し、個人的にも万全の体制を作ってのチャレンジであり、今後に期待したい。


原口元気ヘルタ・ベルリン)【5.5】

チームは10位と伸び悩む。原口には昨季の終盤から今季プレシーズンにかけて、プレミア移籍の話が持ち上がっており、あとは詳細を詰めるだけかと思われたが、それは夢と消えた。
昨季後半は、ヘルタとの契約延長に関しても問題が発生しており、クラブとの間で何かコミュニケーションに齟齬(そご)があるのではないかと推測された。
その点は気の毒に思うが、移籍が実現せず、結局ヘルタに残ることになった後の地元メディアやファンからの反応は厳しいものがあった。

リーグ戦のフル出場はなし。2試合に先発したが、そのうち1試合は44分でレッドカードで退場しており、実質的に1試合プレーしたのは87分で交代したバイエルン戦のみだ。途中出場した5試合も試合終盤になってからだった。
パル・ダルダイ監督の息子やユルゲン・クリンスマンの息子らがチャンスを得ているのを見ると、気持ち的にも難しい状況だろう。
ヨーロッパリーグを含めて、出場機会さえあれば走り切る姿は健気に映るが、原口本人もミヒャエル・プレーツSD(スポーツディレクター)も、冬の移籍の可能性を示唆している。


浅野拓磨シュツットガルト)【5.5】

チームは14位。レンタル元のアーセナルへの復帰をせず、シュツットガルトに残留してブンデス1部での経験を選択した浅野。15試合に出場しているが、先発は7試合、得点もわずかに1と、正直なところ物足りない。
「僕はどことやっても相手が強いと感じる」と常々語っているが、天然なのか、それとも謙遜なのか、もしかしたら本音なのか。

とはいえ、「得点していない限り、チームが勝っていても満足できない」とストライカーらしさは失っていない。スピード勝負を必要とする相手との試合で起用されることも理解しており、
そこで浅野らしさを発揮することが必要になる。後半戦は得点、アシストという数字で貢献したいところだ。


武藤嘉紀マインツ)【6】

チームは15位。武藤自身はプレシーズンから序盤戦にかけては好調で、3得点1アシスト。だが、第12節ケルン戦で接触プレーにより腰を痛め、その後4戦、試合から遠ざかった。
代表復帰とW杯メンバー入りを目指し、オフシーズンから個人トレーナーのもとでフィジカルを強化してきた。ケガをしないことを何より優先して臨んだシーズンながら、皮肉な状況が続いている。

第17節ブレーメン戦で先発に復帰しているが、60分で交代した。冬のオフはじっくりと自分の身体と気持ちに向き合い、後半戦の爆発的な活躍につなげることを狙っている。

酒井高徳(ハンブルガー)【5.5】

チームは17位と低迷している。サイドバックボランチといった守備的なポジションであり、同時にチームキャプテンを務めていることから、全試合フル出場が期待されてしかるべきだが、
フル出場9回、先発から途中交代2回、途中出場2回というのは少々不甲斐ない。序盤戦は「キャプテンであってもかばいきれない」と、マルクス・ギズドル監督から低パフォーマンスを指摘されたほどだった。

それでもサポーターからの人気は高く、チームメイトにも主将として信頼されていることは試合を見れば明らかだ。それだけに後半戦は安定したパフォーマンスを求めたい。


伊藤達哉(ハンブルガー)【採点なし】

プロ契約ですらなかった伊藤は、低迷するチームの救世主のようにトップの試合に出場するようになった。小柄でスピードとテクニックがあり、怖いもの知らずに突っかけていくスタイルはスタジアムを沸かせている。
まだチーム広報が取材の規制をかけるなど、一人前扱いをされていなかったのだが、12月に入って2021年までの契約を新たに結んだ。これでようやくプロとして評価の土俵に上がったことになる。


大迫勇也(ケルン)【6】

チームはダントツの最下位。ここまでの大迫は13試合に出場、1ゴールといまひとつの成績にも見えるが、負傷者が相次ぐなか、中盤から1トップまで複数のポジションをこなして12試合に先発しており、
チームにとってはなくてはならない存在だ。プレシーズンの練習試合で負傷し、開幕戦には復帰できなかったが、ジョン・コルドバ、セル・ギラシー、クラウディオ・ピサーロといった他のFW陣と比べれば、断然、大迫の安定感とマルチぶりは光る。

ストライカーとして出た際にはもう少し得点を望みたいが、チーム事情がそれを許さない面もある。ペーター・シュテーガーが解任され、ステファン・ルーテンベック監督が指揮を執るようになると、第17節でチームは今季初勝利をあげた。
ところが、今度は大迫が肺炎で年明けまで離脱と、頑張っているのについていない前半戦だった。

後半戦はこの9人がどのような活躍を見せてくれるのか。冬の移籍はあるのか。そしてW杯までに、どう調整していくのか。4年に1度の重要な半年間が控えている。

 

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