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興味深い植田の右サイドバック起用

そんな中国を迎え撃つ日本のスターティングメンバーは以下のとおり。GK東口順昭。DFは右から植田直通三浦弦太昌子源山本脩斗。中盤はボランチ大島僚太今野泰幸、トップ下に土居聖真。そしてFWは右に伊東純也、左に倉田秋、センターに小林悠。前回の北朝鮮戦から7人を入れ替え、三浦、植田、山本、土居の4人が初キャップを刻むこととなった。それにしても興味深いのが、植田の右サイドバック起用。同ポジションでの実戦経験がある三浦を右に置いて、所属クラブと同様に昌子と植田でコンビを組むと思っていたからだ。伊東との縦の関係も含めて、日本の右サイドはこの試合一番の注目点となった。

 実際、序盤の日本のチャンスは右サイドから生まれた。前半4分、伊東が右サイドをドリブルで駆け上がってクロス。これに小林が頭で反応し、さらに土居が左足で触れるもシュートは枠の外に外れる。22分にも伊東が右から折り返し、相手DFのクリアボールを植田が拾って柔らかいクロスを供給。小林がヘッドで狙ったが、これも枠外となってしまう。前半30分には日本にアクシデント。それまで攻撃の起点となっていた大島が、左足の太ももを負傷してしまい、急きょ井手口陽介が投入される。その後も日本はチャンスを作り、44分には土居の左からのクロスに小林がダイビングヘッドで反応するも、またしてもゴールならず。前半は0−0で終了する。

 この日の日本は、中国が3バックで前に仕掛けてきたこともあり、前線から裏への狙いが明確であった。対する中国も後半12分と25分、右サイドから決定機を作るが、東口の間一髪のブロックとシュートミスでこれを生かせず。この苦しい時間帯をしのいだ日本は、後半30分に川又堅碁を、そして37分に阿部浩之をピッチに送り込む(OUTは伊東と土居)。そして3枚目のカードを切り終えた2分後、ようやく日本の先制点が生まれる。ゴール前の倉田の縦パスを小林がコースを変えて川又がシュート。これは相手にブロックされるも、右に流れたボールに小林が追いつき、反転しながらノールックでボールを流し込む。小林は、これがうれしい代表初ゴールとなった。

 後半43分には、昌子がセンターサークル付近から意表を突くロングシュートを放ち、これが相手GKのグローブをかすめてゴールイン。日本代表の試合で、これほど見事なロングシュートが決まったのは、06年のフィンランド戦での小笠原満男のゴール以来である。小林に続く、昌子の代表初ゴールでスタンドの高揚感は頂点に達するが、アディショナルタイムに山本のファウルからPKを献上。これをユー・ダーバオにきっちり決められてしまう。しかし、中国の追い上げもここまで。2−1で勝利した日本は勝ち点を6に伸ばし、次の韓国戦に引き分けても優勝となる有利なポジションを確保した。