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今日はやりたいことがいくつもあった

パチューカFW本田圭佑が9日のFIFAクラブワールドカップ(W杯)初戦の準々決勝ウィダード・カサブランカ(モロッコ)戦で先発フル出場。延長120分の死闘の末に1-0の勝利を飾った。

12日の準決勝グレミオ(ブラジル)戦に向かう“背番号02”は、決勝までわずか3試合というフォーマットのクラブ世界一決定戦について「こんなに内容がどうでもいい大会はない」と持論を展開。短期決戦での徹底したリアリストぶりを示している。


 本田は4-3-3システムで右のインサイドハーフに入った。後半4分に相手GKのクリアボールを拾うと、約20メートルの強烈なミドルシュートを放つ。左足の一撃は右ポストをかすめながら、惜しくもゴールはならなかった。

 相手の退場で数的優位に立ったパチューカだが、身体能力に優れるウィダード・カサブランカのカウンターの脅威にさらされた。スコアレスのまま延長戦に突入し、MFグスマンがゴールを奪ったのは延長後半12分のことだった。

「今日はやりたいことがいくつもあったけど、前半のうちに全部諦めて今日は勝てば良いと」

 メキシコ特有のショートパスをつなぐ華麗な崩しや俊敏性を生かした連携プレーなどなかった。数的優位に立っても攻めあぐね、凡戦にも見えたが、本田は徹底的に現実的だった。

「これだけでかい大会でこんな短期決戦は…」

 人生で最後というクラブW杯の舞台で、本田は本能を呼び覚ましていた。

「これだけでかい大会で、こんな短期決戦なのはこれだけでしょう。こんなに内容がどうでもいい大会はない。これは自分にとっても初の経験」

 アフリカ王者との初戦がいきなり準々決勝。準決勝でブラジルの名門を倒せば、世界一決定戦を迎える。人生初の短期決戦に、内容を求める意味はないと断言している。

 欧州王者で史上初の大会連覇を目指すレアル・マドリードの「背番号10」を担うことが、人生の目標と定めていた本田。2014年ブラジル・ワールドカップでは「自分たちのサッカーで世界一」を目標に掲げたが、どちらも叶うことはできなかった。憧れの名門と戦うために、今は内容を度外視し、勝利だけを目指す覚悟だ。